脂肪酸シンターゼともいう.アセチルCoA カルボキシラーゼとともに脂肪酸の生合成を行う.アセチルCoAカルボキシラーゼは,アセチルCoAからマロニルCoAを合成する反応を触媒し,脂肪酸合成酵素はアセチルCoAとマロニルCoAからNADPHを補酵素として飽和脂肪酸の合成を触媒する.脂肪酸合成酵素にはⅠ型とⅡ型が存在する.動物や酵母の酵素はⅠ型で,脂肪酸合成の7つの反応,アセチルトランスフェラーゼ,マロニルトランスフェラーゼ,3-ケトアシルシンターゼ,3-ケトアシルレダクターゼ,3-ヒドロキシアシルデヒドラターゼ,3-エノイルレダクターゼおよびチオエステラーゼの反応すべてを触媒する多機能酵素である.植物や細菌の酵素はⅡ型で,各反応を触媒する酵素および脂肪酸の担体として働くアシルキャリヤータンパク質が別々に存在する,マルチサブユニット酵素である.