成長した植物個体には光合成産物を供給するソース器官と,光合成産物を受け取り活発に成長するシンク器官が存在する.個体内に多数のソース器官とシンク器官が存在すると,光合成産物や窒素化合物、無機栄養塩などの流れが複雑になり,ソースとシンクの相互関係やこれらの間の調節機構を調べにくくなる.そのため,Humphriesは,インゲンの初生葉から不定根を発生させ,ソース器官が一枚の葉,シンク器官が根となる実験系をつくった.しかし,このインゲンの系ではソース器官である葉も成長するので,沢田らは,そのような成長がみられないダイズの葉などを使った実験系を開発した.異なるシンク強度の貯蔵器官を持つ植物同士の接ぎ木実験も,シンク-ソースバランスの変化に応じた様々な特性や成長の変化を解析するのに有効な方法である.