#freeze
*二酸化炭素補償点[CO&subsc(2); compensation point] [#bab95297]
 [[純光合成速度]](正味の光合成速度)をゼロにするCO&subsc(2);分圧をいう.このCO&subsc(2);分圧は,生葉周囲,細胞間隙あるいは[[Rubisco]]の活性中心での分圧でそれぞれ表記される.CO&subsc(2);補償点の性質として,その値は,[[C&subsc(4);植物>C4植物]]ではきわめてゼロに近く,酸素の存在に影響されない.一方,[[C&subsc(3);植物>C3植物]]のCO&subsc(2);補償点は細胞間隙CO&subsc(2);分圧として5~7 Paの範囲(現在の大気CO&subsc(2);分圧は37 Pa)であり,この値はO&subsc(2);存在下で増大する([[ワールブルク効果]]).また,C&subsc(3);植物では温度上昇とともにCO&subsc(2);補償点が増大する.これらの違いは,各植物での光合成速度を律速する反応を触媒する酵素の違いによる.&br; C&subsc(4);植物の光合成速度は[[ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ]](PEPC)によるCO&subsc(2);固定反応により,C&subsc(3);植物ではRubiscoによるCO&subsc(2);固定反応により律速される. PEPCのCO&subsc(2);分圧に対する見かけのK&subsc(m);値は1 Pa以下,またRubiscoのK&subsc(m);値は30~35 Paで,PEPCと比較しCO&subsc(2);に対して親和性が低い.この親和性の違いが,C&subsc(3);植物のCO&subsc(2);補償点をC&subsc(4);植物の値よりも大きいものにしている.さらに,PEPCと異なりRubiscoは,カルボキシラーゼ反応によるCO&subsc(2);固定の際,酸素が存在すると[[光呼吸]]の初発反応であるオキシゲナーゼ反応を不可避的に触媒する.このオキシゲナーゼ反応はカルボキシラーゼ反応に拮抗し, RubiscoのCO&subsc(2);への親和性を低下させる.また,光呼吸経路ではCO&subsc(2);が発生する.これが,C&subsc(3);植物のCO&subsc(2);補償点が酸素存在下で大きくなる原因である. RubiscoのCO&subsc(2);に対するK&subsc(m);は,温度が高くなると大きくなり,その度合いはO&subsc(2);に対するK&subsc(m);の増加より大きいため,温度上昇に伴うCO&subsc(2);補償点の増大の一因となる.もう一つの要因としては, CO&subsc(2);およびO&subsc(2);のストロマへの溶存率が温度により異なり,高温ほど酸素の溶存率が相対的に大きくなり, Rubisco・オキシゲナーゼ反応が促進されることがあげられる.さらに高温では,呼吸促進によるCO&subsc(2);補償点の増大も考えられる.

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