高山植物の光合成[photosynthesis in alpine plant]

 高山における低い大気中二酸化炭素量,強風,低温などの環境は,光合成を行うには不利である.しかし高山植物では,葉面積当たりの光合成速度は低地の植物と同程度に維持されていることも多い.その機構の一つとして,葉面積が小さい厚い葉をつける,地上部が密集する,などの特有の生育形態があげられる.葉が厚くなることにより,葉面積当たりのRubisco量は増加し,また密集した形態は葉温低下の防止などに役立つ.その他の機構として,低温での光阻害に対する耐性が高いことがあげられる.低温・強光である高山では,光化学系に光阻害が生じやすい.高山植物の草本種には,エネルギー散逸に関与する色素や抗酸化酵素の働きにより強光による傷害を防いでいるものがある.植物種によっては高山のほうが低地よりも光合成速度が低下することがあるが,この場合は葉内での二酸化炭素に対する*拡散抵抗の増加が要因の一つとなることがある.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:42