赤潮[red tide]

  微小プランクトンの大規模増殖によって水色が変化する現象.植物プランクトン(*渦鞭毛藻,*ラフィド藻,*珪藻,シアノバクテリアなど)のブルームによるものが多いが,夜光虫なども原因となる.陸水域や赤以外の水色でも赤潮と呼ばれるが,英語のred tide は,渦鞭毛藻類や赤い水色に限定される場合が多い.人為的富栄養化の進んだ沿岸海域や湖沼を中心に世界的に見られる現象で,栄養塩類が多く供給された上で水柱が成層化するなど,光合成が持続できる条件下で多く発生する.赤潮の発生と消滅には,捕食者や細菌・ウイルスなどとの相互作用,ビタミンや微量金属などの栄養要求性,他感作用物質の関与なども知られており,発生機構が十分に解明されているとは言い難い.物理的・生化学的に鰓細胞の機能阻害を起こしたり,大量の有機物が底層を無酸素化したりすることで,魚類斃死の原因となる.また一部の渦鞭毛藻,シアノバクテリアなどでは神経毒,肝臓毒などの作用をもつ物質を産生する例があり,麻痺性貝毒や下痢性貝毒などによる人的被害の原因ともなっている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:46