蛍光の量子収率[fluorescence quantum yield]

 量子収量ともいわれる.入射光による励起によって放出された光子の数と,物質に吸収された入射光の光子数との比であり,1個の光子が吸収されたとき,蛍光となって光子が放出される確率をいう.光吸収による励起のあと,様々な緩和過程(振動緩和,光化学反応,項間交差,蛍光発光など)が起こるが,それらの速度定数の総和の中での蛍光発光の速度定数の割合で量子収率が示される.収率は分子の環境に大きく依存する.アセトンやエーテル中でのクロロフィルaの蛍光収率は約0.3であるが,葉緑体中ではその1/10程度に減少している.また温度の影響も大きく,一般には低温にするほどに収率が高くなる.光合成色素の1種であるカロテノイドは蛍光収率がきわめて低く,0.0001程度であり,通常,無蛍光性だと記述される.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:36