窒素固定生物[nitrogen-fixing organism]

  空気中に存在する分子状窒素を固定し,これを窒素源として利用できる生物.シアノバクテリア(藍藻)と数種の細菌が窒素固定を行う.単独で窒素固定を行う生物と共生的に窒素固定を行う生物が存在する.共生的に窒素固定を行う生物にはマメ科植物と共生する根粒菌,ヤマモモやハンノキと共生するある種の放線菌があげられる.いずれも根粒を形成する.分子状窒素をアンモニアに還元するためには,ニトロゲナーゼとATP,さらにフェレドキシンフラボドキシンからの大量の電子供与が必要となる.アンモニア1分子を合成するために必要なエネルギー量をNADP(H)の分子数として換算すると,分子状窒素から合成する場合は6分子程度であり,硝酸態窒素から合成する場合は4分子である.つまり,高等植物にとって共生的な窒素固定はエネルギー的に有利であるとは限らず,むしろその利点は他の植物が生育できない貧栄養な土壌でも生育を可能にすることにあるといわれる.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:18