構成呼吸[construction respiration]

  光合成生物において呼吸によってつくられるエネルギーのうち,成長過程で器官や組織の構成に用いられるエネルギー量.成長呼吸(growth respiration)とも呼ばれる.生命活動の維持に用いられるエネルギー量をさす維持呼吸とともに,光合成生物のエネルギー利用効率の器官間や種間の比較に用いられる.通常,呼吸速度で表される.構成コスト・維持コストは,構成呼吸・維持呼吸と同様の意味で使われることが多く,通常必要グルコース量や必要炭素量で表される. Thornley (1970)やHeskethら(1971)は,呼吸を構成呼吸と維持呼吸に分離するモデルをつくった.

  R/W=g(dW/dt)W+m

 R/Wは単位重量当たりの呼吸速度, (dW/dt)/Wは相対成長速度,gは構成呼吸係数, mは維持呼吸係数である.右辺の第1項が構成呼吸をさす.このモデルは維持呼吸が成長速度に依存しないことなどのいくつかの前提に基づいたもので,よく利用される.根の呼吸エネルギーの一部は栄養塩吸収に使われているため,構成呼吸と維持呼吸から栄養塩吸収のための呼吸を分離したモデルも提示されている. Penning de Vries ら(1974)は植物の構成物質の合成経路と物質組成とから構成呼吸(コスト)を理論的に導いた.この方法は非常に煩雑であるが,この方法を簡便にしたいくつかの方法が編みだされている.なかでもWilliamsら(1987)の燃焼熱,灰分含有率,有機態窒素含有率から構成呼吸(コスト)を求める方法はよく使われている. Penning deVries (1975)は,維持に関わる生化学的な素過程を積算することによって維持コストをも理論的に計算した.各維持過程の中で主要なものとしてタンパク質の代謝回転とイオンの濃度勾配の維持をあげている.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:56