群落が遷移を経て最終的に到達する安定状態.極相の姿は様々な環境要因の影響を受け,たとえば気候要因に最も強く規定されるものは気候的極相と呼ばれる.極相状態の群落は,一般にバイオマスや空間構造が最大となる.日本の多くの森林では陰樹が極相林の優占種となる.また,後継個体が多数存在して群落構造の永続性が保たれ,物質やエネルギーの収支の面では収入と支出が均衡した状態といえる.極相概念は長年の論争を経てきたが,現在ではまったくの静的状態ではなく,撹乱や個体の枯死で生じた空間(ギャップ)において局所的な更新を続けつつ全体としては相対的な安定性が保たれているという動的な極相概念が支持されている.