栄養ストレス[nutrient stress]

  植物が生育するためには17種の必須の栄養素(必須元素)が存在し、それらのうち、いずれかの元素が不足あるいは過剰量存在し、生育に阻害的な効果をもたらす現象を栄養ストレスと呼ぶ。植物は大気から二酸化炭素と酸素を、根から水と無機塩類を吸収し成長する。二酸化炭素、酸素、および水が不足すると植物は強いストレスを受けるが、一般にこれらの現象は栄養ストレスには含めず、根から吸収する無機塩類が栄養ストレスの対象である。植物の要求量が多く、相対的に不足しやすい栄養素が、N、P、Kであり、三大肥料成分とされ、欠乏すると栄養ストレスが現れやすい。逆に過剰ストレスとなりやすいものは、必須栄養素でないものも多く、NaやAlなどクラーク数の高い元素である。必須栄養素では、S、Fe、Cuなどが過剰栄養ストレスとなることがある。真核藻類をNやPの欠乏条件に曝すと、増殖の停止にともなってトリグリセリドを合成、蓄積することが多いので、しばしばバイオ燃料の生産に利用されている。


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:57