抗凍結タンパク質[antifreeze protein (ice bindingprotein, thermal hysteresis protein)]

  南極海や北極海に棲息する魚類は海水温度が氷点下でも体液が凍結しないよう体液中に抗凍結タンパク質をもつ.その作用は溶質濃度に依存する凝固点降下とは異なる機構,つまり低い濃度で,凍結開始温度を下げたり,氷の成長,再結晶を阻害する. ice binding protein,thermal hysteresis protein とも呼ばれる.魚類,微生物,昆虫,植物などから報告がある.魚類の抗凍結タンパク質は分子構造からAFPⅠ~Ⅳ,AFGP(抗凍結糖タンパク質)の5種に分類され, ice bindingsiteなど作用機構が研究されている.植物では研究が浅く,低温馴化したライ麦,ニンジンなどのアポプラストから抗凍結タンパク質が見つかり,遺伝子が単離された.それぞれキチナーゼとポリガラクチュロナーゼインヒビターによく似ていた.いずれも氷点降下作用は小さいが,再結晶阻止能力を有し,組織中の氷の肥大による組織の機械的損傷(凍結ストレスの一つ)を緩和すると考えられる.その作用機構や耐寒性における役割,多様性については不明である.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:56