循環的電子伝達[cyclic electron transport]

  電子伝達鎖の最終電子受容体の還元型が電子伝達鎖の電子供与体となり,正味の酸化生成物,還元生成物を生じない電子伝達反応.環状電子伝達ともいう.紅色細菌やNADPH-ME型C4植物の維管束鞘細胞葉緑体などでは単一の光化学系から成る循環的電子伝達が主に働き,膜を介した電気化学ポテンシャル勾配が形成され, ATP生成に利用される.シアノバクテリアやC3植物葉緑体でも,光化学系Ⅰで循環的電子伝達が起こる.光化学系Ⅱでも循環的な電子伝達が起こるとされている.また,water-waterサイクルも,光化学系ⅡとⅠを使って駆動される一種の循環的電子伝達である.酸素発生型光合成における循環的電子伝達の機能は,(1)ストロマのATP/NADPH比の調節, (2)光化学系ⅡのΔpHによる効率低下制御, (3)還元型電子受容体の再酸化による過還元の緩和, (4)過剰光エネルギーの消費・熱散逸である. (2)~(4)の過程は光阻害に対する防御として働く.循環的電子伝達と非循環的電子伝達とのフラックス比は,電子受容体の供給と光強度によって変動するが,分配の調節機構は未解明である.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:35