回転触媒説[rotary catalysis mechanism hypothesis]

 ATP合成酵素(FoF1)とその部分複合体であるF1-ATPaseの反応機構についてBoyerが提唱した説.F1-ATPaseは,γサブユニットの軸上構造であるコイルドコイル構造が3個ずつのαとβサブユニットが交互に並んだ6量体リングに囲まれるような構造をとっている。 Boyerは3つのβサブユニットにある触媒部位が順番に基質に対する親和性を変化させながら連続的に反応することを解明し,γが3組のαβと平等に相互作用するために回転すると主張した.WalkerらによるF1複合体の結晶構造解析によって,6量体リング構造とそれに突き刺さる形になっているγの構造が明らかにされたことで、Boyerの仮説はにわかに脚光を浴びた。最終的には、γサブユニットに結合させたアクチンフィラメントの回転を光学顕微鏡下で直接観察するという1分子回転観察実験によって実証された.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:07