シンプラスティックな糖の輸送[symplasticsugar transport]

  植物体における糖輸送のうちシンプラストを経由して行われるもの.葉肉組織や胚乳組織のようにそれらを構成する細胞の間に原形質連絡が豊富に存在する場合,細胞間の糖の移動は主にこの経路で拡散に依存して行われると考えられている.すなわち糖の短距離輸送の主要な経路であるといえる.また,未成熟葉や根などにおける転流物質のアンローディングもこの経路で行われる例が多く知られている.一方,シソ科やウリ科の植物などの葉では篩部の伴細胞と周辺の柔細胞との間に多くの原形質連絡が存在し,葉肉細胞で生じた光合成産物がシンプラスト経由で篩管内に到達するシンプラスティックローディングが行われている.これらの植物種にはラフィノース,スタキオースなどのオリゴ糖を転流するものが多い.これは,伴細胞に到達したショ糖からこれらオリゴ糖が合成される一方,伴細胞と周辺の柔細胞をつなぐ原形質連絡の排除分子量は通常のそれよりも小さく,合成されたオリゴ糖の葉肉側への逆流が困難となり,結果的に篩管中の糖濃度を周辺よりも高く保つ意味があると考えられている.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:25