クロロフィルの多様化[diversification of chlorophyll]

  クロロフィルの多様化は,光合成生物の誕生の初期において獲得されたクロロフィルaあるいはバクテリオクロロフィルaの生合成系をもとに,遺伝子の平行移動や突然変異, 自然選択(淘汰)の繰り返しにより,ある環境での生存に優位な新しいクロロフィルが使われるようになったものと考えられる.光合成生物の分子系統解析や環境変動の地球史から,バクテリオクロロフィルaやbを利用し,電子供与体として,より酸化還元電位の低い硫化水素を用いることのできる細菌が最初に誕生した光合成生物であると考えられてきているものの, 近年のゲノムの網羅的比較では、シアノバクテリアの祖先的生物(プロシアノバクテリア)から光合成をするさまざまな光合成生物が派生したとの考え方も提案されており, 光合成をする細菌の系統関係や出現時期についての議論は混沌としている.このため、クロロフィルが先に出現したか、バクテリオクロロフィルが先であったかについてはわかっていない。バクテリオクロロフィルa, b, c, d, e, gやクロロフィルa,b, c (c1,c2,c3)d,ジビニルプロトクロロフィリド(MgDVP)は,いずれもプロトクロロフィリドから合成される類似の生合成経路をもつことから, 合成系は共通の祖先から派生したものと考えられる,


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:44