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#freeze
*車軸藻類 [charophytes, charophyceans, stoneworts] [#k803a050]
~ シャジクモ藻類,シャジククモ類とも書く.広義には[[緑藻(広義)>緑藻#greenalgae]]のうち,[[陸上植物]]に近縁なものの総称であるが(charophytes s.l., charophyceans s.l.),狭義にはその中でシャジクモ('''Chara''')やそれに近縁なものに限る(charaleans, stoneworts).
&aname(charophytes);
** 車軸藻類(広義) [charophytes s.l., charophyceans s.l.] [#s284519c]
~ [[ストレプト植物]]のうち,[[陸上植物]]を除いたものの総称.ストレプト藻(strreptophyte algae)ともいう.単細胞性(遊泳性,不動性),群体性または多細胞性.一部は原形質連絡をもつ(コレオケーテ類と狭義の車軸藻類).葉緑体は緑色を呈し,ふつう1個だがときに多数,形は多様,[[緑色植物]]に一般的な色素組成をもつが,一部の種では[[ロロキサンチン]]が,[[メソスティグマ('''Mesostigma''')>プラシノ藻#Mesostigmatophyceae]]からは[[シフォナキサンチン]]やそのエステルが報告されている.ふつうチラコイドが陥入した[[ピレノイド]]をもつが,車軸藻類(狭義;下記)はピレノイドを欠く.いくつかの種で葉緑体DNA塩基配列が報告されている(e.g., '''Mesostigma''', '''Chlorokybus''', '''Klebsormidium''', '''Zygnema''', '''Staurastrum''', '''Coleochaete''', '''Chara''').
~ 遊泳細胞は細胞亜頂端から平行に生じる2本の等運動性鞭毛をもち,ふつう小さな有機質鱗片に覆われる.鞭毛装置は非対称のMLS型.メソスティグマを除いて眼点を欠く.核分裂は開放型,中間紡錘体は残存型,細胞質分裂時にときにフラグモプラストを伴う細胞板が生じる.[[グリコール酸]]代謝は[[ペルオキシソーム]]中の[[グリコール酸オキシダーゼ]]による.[[グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ]]の遺伝子に重複が見られる('''Gap'''A, '''Gap'''B).セルロース合成酵素複合体はロゼット状.接合または卵生殖による有性生殖が知られ,基本的に単相単世代型生活環をもつ.
~ メソスティグマ,クロロキブス類(e.g., '''Chlorokybus'''),クレブソルミディウム類(e.g., '''Klebsormidium'''),接合藻(e.g., アオミドロ,ミカヅキモ),コレオケーテ類(e.g., '''Coleochaete'''),車軸藻類(狭義;下記)が含まれる.歴史的に車軸藻門(Charophyta)または車軸藻綱(Charophyceae)としてまとめられることが多いが,このまとまりは[[側系統]]群である.系統的にはメソスティグマ,クロロキブス類,クレブソルミディウム類が初期に分岐し,接合藻,コレオケーテ類,車軸藻類(狭義)が陸上植物と[[単系統]]群を形成する.特に車軸藻類(狭義)は陸上植物と共通する点が多いが(ピレノイドを欠く多数の葉緑体など),近年の分子系統学的研究からはむしろ接合藻やコレオケーテ類が陸上植物に近縁であることが示唆されている.
&aname(stoneworts);
** 車軸藻類(狭義) [charaleans, stoneworts] [#rbd68712]
~ 広義の車軸藻類(上記)のうち,シャジクモ目(Charales)に含まれるもの.シャジクモ属('''Chara''')やフラスコモ属('''Nitella''')などがある.特徴的な多細胞体を形成する巨視的な[[緑藻(広義)>緑藻#greenalgae]]であり,高さ1 m以上になるものもいる。主軸とそこから輪生する枝,および仮根からなる.主軸は節と節間の繰り返し構造からなり,節に枝を輪生する.節は複数の節部細胞(nodal cell)からなる柔組織であり,節間は1個の巨大な(ときに長さ15 cmに達する)節間細胞(intermodal cell)からなる.節間細胞は顕著な原形質流動を示す.また節間細胞は上下の節から生じた皮層細胞(cortical cell)で形成された皮層(cortex, corticating layer)で覆われていることもある.軸の先端には1個の分裂細胞が存在し,頂端成長する.原形質連絡をもつ.しばしば細胞壁に方解石の形で炭酸カルシウムが沈着する[[石灰藻]]となり,そのため英名でstonewortsとよばれる.[[葉緑体]]は盤状,多数,[[チラコイド]]は[[グラナ]]様の多層構造を形成する.[[クロロフィル'''a'''>クロロフィルa]],[['''b'''>クロロフィルb]],[[ルテイン]],[[ネオキサンチン]],[[ゼアキサンチン]],[[ビオラキサンチン]],[[アンテラキサンチン]],[[β-カロテン]]をもつ.[[ピレノイド]]を欠く.枝の節に造精器と生卵器をつけ,卵生殖を行う.生殖器は多細胞性で藻類としては極めて複雑な構造をしている.造精器はカロテノイド([[γ-カロテン]])を蓄積し,褐色を呈する.受精卵はスポロポレニンを含む壁で覆われて休眠性の卵胞子となり,発芽時に減数分裂する.淡水域に生育し,透明度の高い湖沼では種子植物の水草よりも深い部分に密生し,車軸藻帯を形成していることがある.絶滅危惧種が多い.
~ ストレプト植物門(Streptophyta)または車軸藻門(Charophyta)の車軸藻綱(Charophyceae),シャジクモ目(Charales)に分類される.ストレプト植物に属する他の緑藻([[接合藻]]やコレオケーテ,クレブソルミディウムなど)も車軸藻門や車軸藻綱に分類することが一般的であるが(上記の広義の車軸藻類),この場合このまとまりは非単系統群となるため,分類学的には狭義の車軸藻類のみを車軸藻門,車軸藻綱に分類すべきであろう.