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*無機炭素濃縮機構[inorganic carbon concentrating mechanism] [#n5a54d5b]
  二酸化炭素濃縮機構, CO&subsc(2);濃縮機構ともいわれ,こちらの方がオリジナルの用語であり,CCMと略記される.[[C&subsc(4);植物>C4植物]], [[CAM植物]],[[シアノバクテリア]]および*多くの真核藻類などがもっている機構である.これらの光合成生物はこの機構によって[[Rubisco]]周辺のCO&subsc(2);濃度を上昇させ,高効率でCO&subsc(2);固定を行っている.C&subsc(4);植物とCAM植物においてはHCO&subsc(3);&supsc(-);を[[PEPカルボキシラーゼ]]の働きによりC&subsc(4);化合物 (リンゴ酸,オキサロ酢酸)として固定する.これらの化合物の分解によって生じるCO&subsc(2);がRubisco周辺のCO&subsc(2);濃度を上昇させる.C&subsc(4);植物においてはC&subsc(4);化合物 の合成と分解はそれぞれ[[葉肉細胞]]と[[維管束鞘細胞]]で行われ, CAM植物では同一細胞内で昼と夜に分けて行われる.これら高層植物が有するCO&(2);濃縮機構を生化学的なCO&subsc(2)濃縮機構(biochemical CCM)として以下に示す藻類型のCCMと区別する場合がある.;&br; シアノバクテリアおよび真核藻類の無機炭素濃縮機構はCCM (CO&subsc(2);-concentrating mechanism)或いは生物物理的無機炭素濃縮機構(biophysical CCM)と名づけられており,光エネルギーによって駆動されるCO&subsc(2);取り込み系とHCO&subsc(3);&supsc(-);輸送体が主要な役割をしている.細胞内に取り込まれた無機炭素はHCO&subsc(3);&supsc(-);として蓄積された後,シアノバクテリアでは[[カルボキシソーム]],緑藻では[[ピレノイド]]内で[[炭酸脱水酵素]]によってCO&subsc(2);に変換されRubiscoによって固定される. CO&subsc(2);取り込み機構については,拡散によって[[細胞膜]]を透過したCO&subsc(2);が[[チラコイド膜]]上で膜不透過性のHCO&subsc(3);&supsc(-);に変換されると考えられている.シアノバクテリアや多くの真核藻類RubiscoのCO&subsc(2);に対する親和性は高等植物に比べてはるかに低く,空気と平衡状態にある水中のCO&subsc(2);濃度(約10μM)ではほとんど機能しない.したがって, CCMが欠損した変異株はこれらの条件下では生育できない.シアノバクテリアからは[[ABC輸送体]]型のHCO&subsc(3);&supsc(-);輸送体とNa&supsc(+);/HCO&subsc(3);&supsc(-);共輸送体2種の合計3種類のHCO&subsc(3);&supsc(-);輸送体が見いだされている.また, CO&subsc(2);取り込み系には異なる[[NDH複合体]]が関与する2つのルートが存在する.一方は低CO&subsc(2);条件下で誘導され,CO&subsc(2);に対して高い親和性を示すが,もう一方は高濃度のCO&subsc(2);下で培養した細胞中にも存在し, CO&subsc(2);に対する親和性は低い.HCO&subsc(3);&supsc(-);輸送体は低CO&subsc(2);濃度下で誘導される.一方,緑藻などの真核藻類では無機炭素取り込みに関与するシアノバクテリア遺伝子と相同な遺伝子をもたないことから,緑藻のCO&subsc(2);取り込み系とHCO3輸送体はシアノバクテリアとは異なると考えられている.これまでに緑藻で1種および珪藻で1種の細胞膜型HCO&subsc(3);&supsc(-);輸送体が機能同定されている.また,これらの藻類では葉緑体包膜型のHCO&subsc(3);&supsc(-);輸送体およびチラコイドルーメン型炭酸脱水酵素を含めたピレノイド因子のCCMへの関与が示唆されている.

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