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*ヒル[Hill, R.]
Hill, Robert (通称Robin), 1899-1991.英国の生化学者.ケンブリッジ大学に学び,研究生活の大部分もそこで過ごした.ヒルの科学的関心は光合成のほか,ヘモグロビンやミオグロビンと酸素の結合,植物色素や無機色素の分離と調製,茶葉の発酵, 180度にわたって撮影できる全天カメラの開発,果樹栽培の改良など広い範囲に及んでいた.ヒルは葉緑体懸濁液にNa&supsc(3+);塩などの酸化剤を加えて光をあてると,酸化剤は還元され,酸素が発生すること([[ヒル反応]])を1937年に発見した.微量の酸素の発生を測定するために,ヘモグロビンと酸素の結合についての彼の初期の研究が役に立った.また, Scarisbrickとともに,葉緑体に存在する電子伝達成分の1つである[[シトクロム'''f'''>シトクロムf]]を発見し,分離精製した.ヒルは強い還元力をもつタンパク質を葉緑体からDavenportとともに分離し,メトヘモグロビン還元因子と呼んだ(1952).この物質はMortensonなどによって[[フェレドキシン]]と命名され(1962),光合成のほか広く生体の電子伝達に関与していることが明らかになった.さらに,酸化還元電位に従って配置されている電子伝達成分の鎖によって2つの光化学系が連結され,水から二酸化炭素還元に至る電子の流れをつくっているという光合成系のZ模式([[ゼットスキームモデル]])をBendallとともに1960年に提唱した.